ケミカル製品
浸透探傷試験(PT)とは…?
浸透探傷試験とは、赤色や蛍光の浸透性のよい検査液を用いて、表面の割れ、ブローホールなどを検出する非破壊検査方法です。金属、非金属を問わず、表面に開口したクラック(きず)であれば、検出できるため広く利用されている方法です。浸透液の色(観察条件)と浸透液の除去方法により、次の6種類があります。
浸透探傷試験の種類
- 水洗性染色浸透探傷試験
-
- 試験の特徴
- 赤色浸透液を水洗除去する方法で、大型検査物、表面の粗い検査物に適しています。
- 後乳化染色浸透探傷試験
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- 溶剤除去性染色浸透探傷試験
(最も広く採用されている方法) -
- 試験の特徴
- 赤色浸透液を溶剤除去する方法で、大型部品や構造物の部分検査に適しています。
- 水洗性蛍光浸透探傷試験
(自動探傷に最適) -
- 試験の特徴
- 蛍光浸透液を水洗除去する方法で、大型検査物、表面の形状の複雑な検査物、量産部品の自動探傷に適しています。現像剤を使用しない方法もあります。
- 後乳化性蛍光浸透探傷試験*
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- 試験の特徴
- 航空機部品などの一部で使用されています。
- 溶剤除去性蛍光浸透探傷試験
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- 試験の特徴
- 蛍光浸透液を除去液で拭取る方法です。微細きずの部分探傷に適しています。
*の試験は、特殊な条件の場合で使用します。
原理と手順について
2-1.原理
表面に開口しているクラック(きず)を、容易に目視できるようにするために、毛細管現象および知覚現象を利用し、より拡大した像にして指示模様を検知する方法です。 赤または蛍光の浸透液を毛細管現象でクラック(きず)の中に浸透させた後、表面の浸透液を洗浄液による拭取りまたは水洗などで除去します。残ったクラック(きず)内の浸透液を、白色微粉末の現像剤で吸出し、赤色または蛍光の拡大指示模様を形成させ、これを観察することで、微細なクラック(きず)を検出します。
2-2.手順
一般的な溶剤除去性染色浸透探傷試験の手順(カラーチェックの探傷手順例)
- 前処理
- 赤色浸透液を水洗除去する方法で、大型検査物、表面の粗い検査物に適しています。
- 浸透処理
- 浸透液(FP-S)を塗布します。浸透時間は通常5~60分間放置して欠陥部に、浸透液を充分に浸透させます。
- 除去 /洗浄処理
- 表面の浸透液を乾いたウエスで除去します。次に、洗浄液(FR-Q)を軽く含ませたウエスできれいに浸透液を除去します。水洗型の場合は、シャワー水にて洗浄します。
- 現像処理
- 現像剤(FD-S)は充分攪拌した後、薄く均一に塗布します。現像時間は通常10~30分です。
- 観察
- 明るい所で検査物表面を観察します。クラック(きず)があれば、白地に赤色の指示模様として現れます。
染色浸透探傷剤(カラーチェック)について
当社の染色浸透探傷剤はカラーチェックのブランドで親しまれています。一般には浸透液、除去液、現像剤の三液よりなっており、材料や部品等の表面に開口している微細な欠陥を検出します。信頼性・品質の高い製品として広く使用されています。
- 用途
- 溶接部のクラック(きず)、ブローホールなどの検出 一般金属材料(軟鋼、ステンレス、高張力鋼)のクラック(きず)などの検出 鋳造品・鍛造品のピンホールの検出セラミックス その他非金属のクラック(きず)の検出
- 対象
- 金属、非金属材料の表面探傷部
カラーチェックの種類
タイプ | 記号 | 特徴 |
---|---|---|
標準型 |
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赤色浸透液を水洗除去する方法で、大型部品や構造物の部分検査に適しています。 |
水洗型 |
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水洗で洗浄できるタイプ 大型部品、小物の多量検査 (R-12Pは洗浄水リサイクル型で専用処理装置用) |
不燃型 |
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不燃性タイプ 火気の近くで使用可能 |
高温型 |
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検査物表面が高温(100~200℃)の場合に使用可能 |
クリアー |
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浸透液は透明または淡黄色 現像剤と反応して赤く発色 |
粗材型 |
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水ベースで安全性が高い 大型試験体に適している |
セラミック用 |
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セラミック検査用 現像不要 水ベースで安全性が高い |
プラスチック用 |
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浸透液:PM-3P 現像剤:FD-S |
タイプ | 記号 | 特徴 |
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標準型 |
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主に原子力機器などに使用される (Cl≦100ppm、F≦30ppm、S≦10ppm) |
水洗型 |
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蛍光浸透探傷剤(ケイコーチェック)について
ケイコーチェックは蛍光浸透探傷試験に使用される探傷剤です。試験方法は基本的にはカラーチェックと同じですが、蛍光色の浸透液を使用し、観察は暗所でブラックライトを照射して行います。検出感度が高いこと微細クラック(割れ)の検出、自動探傷に適していることなどから、アルミダイキャストなどの量産部品の探傷など生産ラインに導入されるケースが増加しております。浸透液には水洗性タイプと溶剤除去タイプ・後乳化タイプなどがあり、また、現像剤にも速乾式、湿式、乾式タイプがあります。
ケイコーチェック
応力腐食割れによる指示模様
ケイコーチェックの種類
タイプ | 記号 | 特徴 |
---|---|---|
水洗性蛍光浸透液 |
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水洗良好 N-2Pより輝度が高い準高感度 N-3Pより輝度が高い高感度 N-4Pより輝度が高い超高感度 |
タイプ | 記号 | 特徴 |
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後乳化性蛍光浸透液 (溶剤除去性蛍光浸透液) |
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高感度が要求される探傷 AP-5より輝度が高く超高感度 |
後乳化性 |
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AP-6との併用で使用 |
タイプ | 記号 | 特徴 |
---|---|---|
高感度水洗性蛍光浸透液 |
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原子力機器等に使用される Cl≦100ppm、F≦30ppm、S≦10ppm |
後乳化性 |
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AP-5、AP-6との併用で使用 |
タイプ | 記号 | 特徴 |
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粗材用水洗性蛍光浸透液 |
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水ベースで水洗性良好 洗浄排水中COD低減タイプ |
タイプ | 記号 | 特徴 |
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水リサイクル用浸透液 |
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疎水性の水洗性浸透液で油水分離機で排水処理が可能 |
タイプ | 記号 | 特徴 |
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速乾式現像剤 乾式現像剤 湿式現像剤 |
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速乾性で浸透液の吸引が大きい 白色微粉末で指示模様が鮮明 一定量の水に分散して使用 |